イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!

右側にいた男が、奇妙な声をあげてわたしから離れた。
彼の襟首を締め上げているのは、――

「坂田くんっ!」

「こいつ、オレの女なんだけど。何か用?」

抑えた声音、尖った眼差し……
冷静そうに見えるけど、もしかして勝手に離れたこと、怒ってる?

「いてっいてっ! おおお、折れるって!」

悲鳴を上げた友人の姿に逆上した男が、

「何すんだよ、この野郎っ!」

わたしを突き飛ばすように放し、勢いよくパンチを繰り出した――!

「坂田くんっ!」


わたしの声と、彼がその拳を躱したのは同時だった、と思う。

あまりに速すぎて、何が起こったのか全く見えなかった。


ドガッ、って。
響いた痛そうな音。
「ぐえっ!」

潰れた悲鳴は、坂田くんのものじゃない。


男が派手に殴ったのは、自分の友人の頬だった……。

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