イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
身体を折って、痛がる男。
「えっあ、あ、……」
殴った方は、呆然自失――
その膠着状態を打ち破る様に。
シュッ!
空気を切り裂く、鋭い音。
「っ……!」
殴っちゃった! って、ギュッと目を閉じた。
でも……あれ?
音、しない?
周囲のざわめきも、いつの間にか戻ってて。
びくつきながら片目の瞼を押し上げれば……。
「っ!!」
男の、眼前数センチの位置に、坂田くんの拳が微動だにせず静止していた。
血走った目を飛び出しそうなほど開いて、それを見つめていた男は、やがてヘナヘナって、腰が抜けたようにその場に座り込んでしまった。
――すっげぇ……見たか、今の?
――なんか、動き見えなかったよ?
――何者だよ、あいつ。