イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!

身体を折って、痛がる男。

「えっあ、あ、……」

殴った方は、呆然自失――
その膠着状態を打ち破る様に。


シュッ!

空気を切り裂く、鋭い音。


「っ……!」


殴っちゃった! って、ギュッと目を閉じた。



でも……あれ?
音、しない?


周囲のざわめきも、いつの間にか戻ってて。
びくつきながら片目の瞼を押し上げれば……。

「っ!!」

男の、眼前数センチの位置に、坂田くんの拳が微動だにせず静止していた。

血走った目を飛び出しそうなほど開いて、それを見つめていた男は、やがてヘナヘナって、腰が抜けたようにその場に座り込んでしまった。


――すっげぇ……見たか、今の?
――なんか、動き見えなかったよ?
――何者だよ、あいつ。

< 142 / 539 >

この作品をシェア

pagetop