イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
大丈夫、流されたりしない。
キスは最初の1回きりだし、もちろん、夜だって何もないもの。
「ふぅん?」
「どんなに遅くなっても、彼はちゃんと帰って行くし……」
“じゃあな、お休み”って笑って。
いっそ清々しいくらい、あっさりしたもんなんだから。
「行くし……? その後の“間”は何かな?」
「へ?」
「ほんとはその先に進みたいとか思ってない? 実はかなり気持ち、傾きかけてるんじゃないの?」
探るように覗き込んでくるから、「全然だよ!」って焦って打ち消した。
「全く気持ちは動いてないし、気になったりとかないから。トライアル終了が待ち遠しくてたまらないくらい!」
勢いにのせ、一息に言い切る。
「素直じゃないんだから」とか、ボソッとつぶやきが……
聞こえない聞こえないっ!
鼻息も荒くグラスの中身を飲み干した。
そんなわたしの様子を生ぬるい目で眺めていた飛鳥だったけど、自分もきれいにグラスを空けると、同じ飲み物をボーイにオーダー。
そしてぐるりと店内を見回した。
「で、このお店も、2人の思い出の場所ってわけね?」