イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!

やがて。

「……わかった」

必死さが伝わったのか、やがて諦めたような声が聞こえた。
そしてカサコソ、ビニール袋がこすれるような音がする。

「じゃあ、持ってるかもって思ったけど、一応風邪薬とスポドリ。それからゼリーとか口当たりよさそうなもの適当に買って来たから、ノブにかけとくな。後で中に入れて」

「え……」

わたしの、ために?

「ゆっくり休めよ」

慈しむような、愛しむような。
柔らかな口調に泣きたくなった。

コツ、コツコツ……


足音が、楔を打ち込むように響き、遠ざかっていく。
苦しくて切なくて、ただただ胸が痛かった。

そんなに優しくしないでよ……

追いかけて縋り付いて、謝ってしまいたくなる気持ちに、必死で抗った。


ついにその音は完全に聞こえなくなって。

カリッ……
冷たく硬いドアに爪を立て、ずるずるって膝をついた。

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