イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
「話はわかりました。それで、クライアントの名前は?」
わたしが聞くと、彼女の瞳がわずかに細くなった。
「リーズメディカル」
坂田くんが仕事を獲りたがってたところだ。
一瞬、彼に助けを求めようかと思ってしまったけど。
ついさっきあんなことがあったばかりだしな……できれば顔は合わせたくない。
「見つかるかどうかお約束はできませんけど、とにかく探してみます」
わたしが言うなり、彼女は外国の人みたいに大げさに肩を上下させた。
「あぁ~やだやだ! 業者の監督もできないなんて。雑用係以下じゃないですかぁ?」
“雑用係”――総務課のことだ。
陰でそう呼ばれていることは知ってた。
実際、仕事内容は各課の担当に当てはまらないことなら全部、って具合で。
なんでも屋だとは思ってるけど……
体の横で拳をきつく握り締めて、なんとか苛立ちをやり過ごした。
ここで言い合いしたって、時間の無駄だもの。
「多恵さん、可燃ゴミってどこに集められてますか? 案内してもらえます?」
うつむいたままの彼女を促して、ドアへ向かう。
「今日中に見つけてください。あなたが責任もって、ね」
追いかけてきた言葉で腕時計を確認すると、今4時か……
シュレッダーにかけられたわけじゃないんだし、業者に回収されてなければ見つかる可能性もゼロってわけじゃない。
まずはやれるだけやってみよう。