イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
一旦自席へ戻り、梓沙さんに事情を説明。
幸い緊急性のある仕事はなかったから、後のことを頼んだ。
手伝うよ、とも言ってくれたけど、断った。
どれくらいかかるかわからないし、その間彼女の手を止めてしまうわけにはいかないもの。
丁寧にお礼を言って引き返し、しょんぼりと待っていた多恵さんを励ましながら地下道へ。
そして、“ゴミ集積所”と書かれた部屋へ足を踏み入れ――るなり、思わず「げ」って声が出ちゃった。
「こ……ここ、ですか……」
「はい……」
呆然と見渡せば。
わたしの部屋がまるごと入りそうなくらい広い空間に、うず高くゴミ袋が積まれていて……もちろんペットボトルや空き缶、不燃ゴミもあるとはいえ、それでも半分以上が可燃ゴミだ。
「ビル全体のゴミが集まってきますので」
一体トータル、いくつあるんだろう?
この中から、1枚の紙を見つけ出す?
なんだか気が遠くなってきた……。
改めて、簡単に探しますって言っちゃったことを後悔してしまう。
「ただ、手前の方が新しいゴミになりますので、すべてを調べる必要はないと思いますが……それでも相当な量に……」
つぶやく彼女は、申し訳なさそうに身体を小さくしてる。
気持ちがよくわかったから、わたしは無理やり笑顔を向けた。
「多恵さん、千里の道も一歩からですよ! とにかく始めましょう!」
もはや空元気だったけど。
とにかく若いわたしの方がいっぱい動かなきゃ、と一番手前のゴミ袋をグイっと引き出した。