イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
「うぅ~……」
立ち上がって曲げていた腰を伸ばし、ぐうっと後ろへ逸らすとうめき声が漏れた。
運動不足のせいかなぁ。
反省しながら目をやると、ゴミの山は減るどころか増殖してる気すらしてくる。
ゴミ袋を開けて、中を確認して……そろそろ1時間。
気の毒がってくれた警備員のおじさんも加わって、3人で調べてるけど……そもそも営業部のものにすらたどり着かない。
「すみません、マル秘の資料なんて、ゴミ箱に捨てるわけないですよね。そんなことに気づかないなんて……。契約解除になんてなったら、他のみんなに申し訳が……」
涙を浮かべた目をしぱしぱと瞬く多恵さんに、首を振った。
「ちゃんと尋ねたのに、話をきかなかったのは向こうです。相手にだって非はあるんですから、一方的に契約解除になんかさせませんよ。わたしがちゃんと説明しますから」
ありがとうございます、ありがとうございます――
拝み始めた多恵さんを苦笑いで制して、もう一度ゴミ袋の傍にしゃがみこむ。
ただの嫌がらせじゃないかって可能性、わたしの中でどうしても捨てきれないけど……多恵さんがそれらしいものを見てるからには、まるっきり嘘だと決めつけるわけにもいかない。
だとしたら、頑張って探すしかない。
確かに飛鳥みたいなワーカホリックではないけれど、わたしはわたしなりに一生懸命この仕事をやってきたつもりだ。
総務課のプライドだって、ちゃんと持ってる。
こんなところで、「だから雑用係は」なんて、バカにされたくない。
「絶対見つけましょう!」