イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
勢い込んで言ったはいいけど……
それからまた1時間近く過ぎても、作業ははかばかしくなく。
段々、気分が悪くなってきた。
空気が悪いせいかな。
手も、氷みたいにかじかんで動きが鈍くて、袋の結び目がなかなか解けない。
だってここ、なんか寒い……
眩暈を覚えた自分を叱咤して、ようやく開いた袋に手を突っ込んだ。
ウソ、この紙コップ、まだコーヒー残ってるじゃない。
飛び散ったそれを避けて、ねばねばした紙を開いて。
これも、これも……もちろん関係ないものばかりだ。
ため息をついて袋を閉じ、新しい袋を引き寄せようとして。
「きゃあっ!」
ずるっとねばねばした何かに足を取られ、すっころんでしまった。
「大丈夫ですかっ?」
心配する2人に手を振ってなんでもない、とアピールしてから。
しりもちをついたまま、自分の格好を見下ろした。
ベージュのカーディガンもオフホワイトのスカートも、埃まみれ。訳の分からないシミや汚れもベタベタ……うわ、結構ひどいな。
こんな色、着て来るんじゃなかった。
クリーニングで綺麗になればいいけど。
鼻の奥がツンとして、目が潤みそうになり――弱気になるな、とさっと頭を振る。
そして、何気なく視線を移した時だった。
半透明の袋越しに見知ったポスターを見つけて、ハッと体を起こした。
“反社会的勢力を断固拒否しよう”ってやつ。