イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!

「ありがとうございます、みなさんほんとに――」
「……けど姉ちゃん、先方に返す資料って言ってなかったかい?」

ふと。
何かに気づいたようにわたしの言葉を遮るおじさん。

「えぇそうです、明日返すって……」
言いかけた言葉を飲み込んだ。

おじさんが何を言いたかったのか、理解したから。

表紙のトップが、“リーズメディカル御中”になってる。
つまりこれは――うちから提出する書類であって、返却する書類ではない、ってこと。

「ででも、私が見たのは、確かにこれですよ?」

強調する多恵さんには申し訳ないけど……


あぁやっぱり……やられたな、それが正直な感想だった。


最初の直感は正しかった。
嫌がらせだったんだ、わたしへの。

もしかしたら、多恵さんから処分していいか聞かれた時に、思いついたのかもしれない。

これを探し当てることができてもできなくても、「ここに入れたこと、忘れてましたー」とかなんとか、引き出しの奥から本物を取り出せばいいって。

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