イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
むすっと口を曲げた彼女を入口に立たせたまま、坂田くんがずんずん中へ入ってきた。
急に数時間前のやりとり、そして濃厚なキスを思い出してしまい、気まずさに視線が泳ぎだす。
それを知ってか知らずか、彼はわたしへ、というより、わたしを含めた多恵さん、おじさんへ相対するように立った。
「話は聞きました。うちのアシスタントが大変ご迷惑をおかけしてしまい、本当に申し訳ありませんでした」
そうして深々と、頭を下げた。
「さ、坂田くんっ?」
「紛失した書類はありません。そもそも、リーズメディカルから預かった資料はオレが管理していて、彼女には触らせていない」
え……?
わたしたち3人、あっけにとられた顔を見合わせた。
そもそも彼女の手元に、資料がなかった?
じゃあ、返却予定っていうのは……
「別のクライアントのものと混同していたそうで、そちらはもう見つかりました。お騒がせしてしまい、申し訳ありません」と、もう一度頭を下げた彼は、そのまま視線を後ろへやった。
「西谷、お前も謝れ」