イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!

ぼうっと見惚れていたら、眠たげな視線がふと降りてきて。
長い足がわたしの横で止まった。

「あんたさ」

へ? わ、わたしっ!?
まさかのご指名に、数センチは飛び上がったと思う。

「ははいっなんでしょうかっ」

びっくりしすぎて、声、裏返ってるよ。
恥ずかしい……。


「あんま――気にすんなよ」


「へ?」

何を? と聞く間もなく、すぐ口を噤んだ日向さんはそのまま行ってしまう。

入れ違いに。
「今の、制作部の日向さんですよねっ!」
「知らなかったわ、中村さんて知り合いだったの?」

光莉ちゃんたちが、興奮気味に寄ってきた。

「いえいえ、全然知り合いなんかじゃ」
「何話してたんですか?」
「話したって言うか、“気にするなよ”って……」

答えながら、もしかしてと思い当たった。
それって、お見合いのことかも。
直前にあの2人が話していた内容を考えると、そうに違いないって気がする。

彼、坂田くんの元・喫煙所仲間だし。
わたしたちのこと知ってて……心配してくれた、のかな?

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