イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
フロアの片隅、休憩コーナーは幸い無人だ。
自販機の前に立ち、温かいものでも飲もうかと思ったんだけど……
並んだ缶を見つめても、何も頭に入ってこない。
コツン、と額を打ち付けて、はぁと吐息をついた。
よくよく思い返してみれば。
彼は一度も好きとか愛してるとか、そういう告白めいた言葉を口にしてないのよね。
遊びに来いとは言うけど、実際招いてくれたことはないし。
もしかしたら、部屋に入れるのは本命の彼女だけ、なんてこと……
あぁもう、嫌だな。
こんなネガティブなことばっかり考えてるなんて。
切り替えなきゃ。ひとまず今日の定時まででも、と体の横で拳を握り締めたところへ。
「買わないのか?」
降ってわいたみたいに背後から響いた声。
ビクッと肩を跳ね上げ、滲んだ涙を雑にぬぐった。
「ごめんなさい、今どきま、す……」
尻すぼみに消えていく声。
信じられない思いで、固まったまま目をむいた。
だってそこに立っていたのは――
「坂田くん……」