イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
「美弥子?」
強請る様に優しく促されて、視線をうろうろと彷徨わせていたわたしは、ついに小さく頷いた。
「っす、こしだけ……」
それでもちょっぴり意地を張った答えに、ふって彼が頬を緩めた。
「ほんとお前って、オレのツボ、いちいち押してくれるんだよな」
「ツボ? ――……っひゃ」
瞬き一度の間にもう、手を強く引かれ、飛び込むようにその胸の中にかき抱かれていた。
カツンっ……
手からこぼれ落ちたコーヒー缶。
プルタブを開ける前でよかったと軌跡を追ってから、その目をギュッと閉じてしがみついた。
「確かに見合いの話は来たけど、もう終わってる。何も心配しなくていいから」
背中をポンポン叩いてくれる落ちついた手に、不安がゆっくり、曖昧に溶けていく。
「断った、ってこと?」
「もちろん。その場でな。“同期の女性と、真剣につき合ってる”って」
「っ……ほ、んと?」
情けないことに、声が震えちゃった。
腕の中で、パチパチ何度も目を瞬く。
信じられなくて。それって、つまり……
「あぁ、ホント」
答えた彼が、わずかに身体を離してわたしを見下ろす。
そして指を伸ばして、わたしの耳を頬を、唇を、愛でるような仕草で辿り。
視線を合わせつつ、頬を傾ける――
誘う眼差しに、抗うことなんてできるわけもなく……
唇が、彼のそれに捕まった。