イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
抑揚のない言い訳口調に、さっきまでの熱はない。
呼応するようにわたしの身体もどんどん冷え、冷静な思考力を奪っていく。
どうして?
だって、イブの夜は仕事入れてないんでしょ?
プライベートの予定が入ってるんじゃないの?
はっきり聞けばいいのに、何かが――恐怖が、わたしの口を鈍くする。
とにかく何かしゃべらなきゃと、必死で動かした。
「そっか、そうだよね。うん、忙しいのはわかってるの。わかってるんだけど……せっかくだし、ちょっとだけ、会えたら嬉しいかなって」
まずいことを言ってるって、ぼんやりと自覚はあった。
いい大人なんだから、もっと理解ある恋人でいなきゃ。
こんな風に追いすがるなんて、みっともない。
きっと何か、事情があるのよ。
深追いしたら、しつこくしたら、嫌われちゃう。
自分勝手だってわかってる。
でも……ぶわりと沸いた黒い疑惑は、自分でもコントロールできない速さで身体中を侵食して……
「もちろんプレゼントなんていらな――」
「なんで? たかがクリスマスだろ?」