イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
声の方へ顔を向ければ、中部支社の戸波さんがみんなに囲まれ、「ありがとう」って頬を染めてる。
「へぇ戸波さん、結婚するんだねー」
「またお祝い考えなくちゃ」
そうだね、と同じテーブルのメンバーに同意する間にも、浮かれた会話が次々と流れてくる。
お相手はどんな人で、プロポーズはいつどこで、とか。
結婚式は、ドレスは、ハネムーンは……
上気した顔で答える彼女は、ほんとに幸せそう。
いいなぁ。
羨望と嫉妬と。
入り混じった眼差しでじぃっと見つめてしまった自分に気づいて、こっそり視線を外した。
なかなか人生、思い通りにはいかないな。
「さっき聞いたけど、向井くんも今度のクリスマスにプロポーズするんだってー」
「うわ、クリスマスにプロポーズとか、憧れるーっ」
手近なグループの会話へ聞くともなしに耳を傾けていると、話題は婚活へ。
「私なんてさぁ、この前結婚相談所に申し込んじゃった」
「マジで!?」