イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
「偶然ですね。1か月ぶり、くらいかな」
屈託ない笑顔は、相変わらずワンコのようだ。
「三井さん、お久しぶりです。ツリーの時は、お世話になりました。あれ、評判よく、て……」
また吐きそうになって顔をしかめるわたしを、三井さんが心配そうにのぞき込んだ。
「大丈夫ですか? 随分酔ってるみたいですけど……」
「気にしないでください、平気です」
なんとか大丈夫だとアピールして、彼の手を断り後ずさった。
「たしか中村さんて、お酒強かったはずですよね? 何かあったんですか、そんなになるまで……」
「あはは、いえあの、ちょっとヤケ酒……」
「ヤケ酒?」
真顔で聞き返されてしまい、気まずい思いを「なんちゃって」と笑いで誤魔化した。
「ぼくもう帰るところなので、送っていきますよ」
「いいえっほんとに大丈夫です。少し休めばよくなると思うし」
彼は一人ではなく、すぐ脇に連れの男性がいた。
2人ともスーツ姿だし、お仕事関係かな。
接待かもしれないし、邪魔しちゃったら申し訳ない。
それに……
――ほんとに誘いたかったのは、中村さんなんです。
霞がかった頭に、かすかにひっかかる言葉。
自惚れる気はないけど、それでもなんとなくこの手を取るのはまずい、って誰かが警告してるように感じるから……。