イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
2つ隣の会議室から出てきたのは、やっぱり坂田くんだった。
「美弥子」
驚いたように切れ長の瞳を見開くその人は、相変わらずのイケメンっぷりで。
逢いたかった、って溢れそうになる気持ちを必死に抑えなくちゃならなかった。
「坂田、俺は先に行ってるぞ」
低い声が響いて。
ようやく新条課長がいたことに気づいたんだけど、その時にはもう、その堂々たる体躯は遠ざかっていくところだった。
「はい、すみません」
後ろ姿に声をかけた坂田くんが、わたしへ向き直る。
「ご、ごめんね、邪魔しちゃった?」
「いや、全然。大丈夫」
彼は何か眩しいものを見るかのように少し目を細めて、わたしを見下ろした。
そして。
「顔見るの、久しぶりだな。元気だったか?」
変わらない声音で穏やかに言われ、さっきまでの勢いが萎えていく。
「う、ん……元気だった」
反則だよ、坂田くん。
いろいろ文句言ってやろうと思ってたのに。
そんな風に通常モードで話されたら、どうしていいかわからない。
「そっか。ずいぶん冷え込んできたから、風邪ひかないようにしろよ?」
す、っと戯れるように、彼の指先がわたしの頬を撫でていく。
一瞬、以前と同じ甘い空気が漂ったような気がして、そのことに勇気を得たわたしは、思い切って口を開いた。