イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
「え、……は? 美弥子?」
部屋の隅のコピー機。
シャツの袖をまくり上げて中に手を突っ込んだまま、ぽかんと坂田くんがこっちを振り返っていた。
ぐるっと室内を見回すと、資料らしき用紙がテーブルに散乱し、ホワイトボードはグラフやら文字やらで真っ黒。
ひどい散らかりようだ。
プレゼンがもうすぐだったはずだから、その準備だろうけど。
でも……普通は、営業マンには過剰なくらいアシストがつく。
資料を用意したりまとめたり、そういうことは全部やってくれるはずじゃないのかな。
この感じ、まるで彼が一人でやってるみたいに見えるけど……
「お前、何やって……」
かすれ声に呼ばれて我に返り、ようやく視線を戻した。
そして状況を理解する。
どうやら紙が詰まっちゃったらしい。
「む、無理にやると、千切れてひどいことになるよ」
カバンを手近なテーブルに置くと、淡々とした声を心掛けながら近づいて。
「ちょっとどいて」と彼を押しのけた。
「わたし、こういうの得意なんだ。」
コピー機のふたを開け、中に潰れるように詰まっていた紙を慎重に取り出し、ちぎれた紙片も取り除く。
こういうの、指が細い女性の方がやりやすかったりするのよね。
男性だと、力任せに引っ張ったりするし。