イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
「なーんか目が回っちゃいそうですね」
「ほんとね」
半ば呆れながら光莉ちゃんに同意してわたしが見渡したのは、デパートの催事場。
甘い匂いで満たされたそこは、バレンタインフェアの真っ最中だった。
総務課では女子社員が持ち回りでバレンタイン担当を決めてチョコを配ってて、わたしたちが今年の担当。
そこで1月ももう終わりという今日、終業後にじゃあちょっと見に行こうかとやってきたわけなんだけど。
海外の老舗から新進気鋭のブランドまで、とにかく見ても見ても終わらない数のショーケースが並んでて。
同じような目的らしい、仕事帰りのOLたちで黒山の人だかりだ。
同僚へ、友達へ、自分へと、大量に買う人も結構いて、みんなたくさんの紙袋を下げてて。
なんだかさっきから、その場のエネルギーに圧倒されっぱなし。
いいなぁみんな。
選ぶの楽しそう。
わたしは今年も、あげたい人なんて……
――美弥子。
う。ダメだ……。
誰のこと思い出してんの。懲りないな、わたしも。
ふと過った面影と声をうんざりしながら頭の中から追い出して。
人波を果敢にかきわけていく光莉ちゃんに続いた。