イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!

先月は脅迫状、そして今度は会社に電話?
非通知電話のこともあるし、こんなのただのイタズラで済む問題じゃない。
立派な犯罪だ。

ゾワリ、と得体のしれない恐怖が背筋を這っていくような心地がして、きつく身体を抱きしめた。


「あ、時間結構押してますよ。アンダンテの限定アソート、チェックしなきゃ!」

腕時計に目を落とし、ピッチを速める光莉ちゃんに倣い、機械的にスプーンを動かす。
でももう、味はよくわからなかった。


◇◇◇◇

「限定コロッケ、やっぱり口コミ通りのおいしさでしたね。特にカニクリームコロッケが最高でした! 自分、好きなものは最後まで取っておく派なんですけど、中村さんは――」

中村さん? と繰り返されて、ようやく我に返った。
河合さんの色白顔が、きょとん、とわたしを振り返っている。

「やっぱりコロッケ定食なんて、あんな大企業に勤めてるOLさんにはつまらなかったですか?」

「い、いえまさかっ! すごくおいしかったです。奢ってもらっちゃって、すみません」

急いで笑顔を浮かべ、ついさっきまで食べていたものを思い出そうと努めた。

< 362 / 539 >

この作品をシェア

pagetop