イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
「あ、その先の部屋にお願いします」
「了解しました」
台車を押す業者さんを先導し、廊下を進む。
届いた備品の仕分けと整理で、しばらく備品庫に立てこもろう、と心に誓いながら。
というのも。
今朝の騒動のせいで、一気にまた注目を浴びてしまったから。
なぜか、坂田くんと宇佐美さんがわたしを奪い合ってる、みたいな噂が駆け巡ってて、視線が痛いのなんの。
もはや光莉ちゃんや梓沙さんすら信じてくれない。
――坂田さんと別れたっていうのは、フェイクだったんですか!?
――で、ほんとのころ、本命はどっちなの!?
爛々と光る眼で詰め寄ってくるんだもん。
これは何を言ってもドツボにはまるだけだと早々に諦めて、こうして仕事を見つけ、逃げ出してきたというわけ。
「中に入れるだけで大丈夫ですか? 結構ありますけど」
手伝いましょうかと心配してくれる業者さんに、いえいえそれが仕事ですから、と強く断り、ドアのカギを開け――あれ、開いてる。
誰だろう?
そっと中を伺うと、真っ暗。
シンとしてて、人けはない。
また誰かが閉め忘れたな、まったく、と腰に手をやった時だった。
「っっ……っふぇ……っう……」