イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
「宇佐美さん? どうしたんですか? あぁそれよりも、わたし、ご報告したいことがあって、今――」
『今どこ!?』
緊迫した声が放たれて、反射的に口を噤んだ。
「えっと……今自分の家についたところですけど」
『あ、そうなんだ……さっき電話したら話し中で、日向と探しに行こうかと……よかった!』
「ちょうど友達と話してたから、その時かもしれません。すみませんでした。わたしを探してって……どうかしたんですか?」
らしくもなく動揺しているような口調に、不安が募った。
『いろんな防犯カメラを調べたら、別のコンビニから出てくる男を見つけてね。どうやらその店のトイレで変装をしたらしくて』
「見つけたんですねっ!」
あぁよかった、と逸る気持ちを押さえて、耳に神経を集中させる。
『鮮明ではなかったから、日向にデータを組み合わせてもらって、再現してもらって……うん、特定したよ』
緊張した口ぶりから、どうやらまだ重要な発見があるらしいと察して、こくりと喉が鳴った。
『問題は、僕がその男を知ってたってこと』
「知ってた……?」
一体、それは誰?
汗で滑り落ちそうになる携帯を、おぼつかない指先でなんとか支えた。
『ほら、いつだったか会社の前で、君が男と一緒だったことがあっただろう。浮気は賛成できないねって、揶揄ったよね。覚えてる?』
「え……あ、はい」
そういえばそんなことがあったっけ。
あの時一緒にいたのは……と記憶をたどっていたわたしの脳に、次の一声が突き刺さった。
『あの時の男だったんだよ!』