イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
ジャケットをツンツン引っ張ってみるけど、重たいため息がこぼれるばかりだ。
まるで、諦めてるみたい。
好きにさせてやろう、みたいな……?
ちょっと待ってよ! って、怒りにも似た衝動が沸き起こった。
そりゃわたしは部外者だ。
家族の事情もろくに知らないのに、勝手なこと言っちゃいけないのかもしれない。
けど……黙ってなんていられないよ。
死んだ方がいいなんて、絶対違うでしょ!?
「しっかりしてくださいっ! ご主人が呼ぶはずないじゃないですか!」
無我夢中で、ガシッてしのぶさんの両肩を掴んでいた。
「みみ、美弥子ちゃん?」
「愛してる人に死んでほしいなんて、思う人はいません! 自分のことよりなにより、大事な人には生きていてほしい、笑っていてほしい、そう思うんじゃありませんか?」
もし自分だったら?
例えば、わたしが坂田くんより先に逝くことになってしまったら。
彼に後を追ってほしいなんて絶対思わない。
むしろ、絶対こっちに来るなって思う。
自分の分まで、生きてほしいって。