イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
「私ね……」
少し口ごもって、しのぶさんはチラリと息子たちへ目をやった。
「ナイショだけど、ほんとは娘が欲しかったの」
「……どこが内緒だよ」
「思いっきり聞こえてるし」
男どものボヤキは無視だ、無視!
「だって、この子たちとスイーツビュッフェ行ったって、“甘い”しか言わないんだもの。つまらなくって」
「わたしと行きましょう、しのぶさん!」
「ほら、姉妹みたいにカバンや服をお揃いにして、仲良くお出かけする親子、いるでしょ? ああいうの、いいなぁって……」
「出かけましょう! お揃いのカバンも、買いましょう!」
「え、ほんとにいいのっ?」
握り合った手を子どもみたいにはしゃいで揺らすわたしたちに、坂田くんたちは呆れ顔だったけど、いいのいいの。
それで、彼女が生きる気になってくれるなら!
「じゃあねじゃあね、私、死ぬ前にどうしてもやりたいと思ってたことがあるのよ! 美弥子ちゃん、叶えてくれる!?」
おぉ、なんかノリノリだな!
わたしももちろんノリノリで返す。
「はい! 当たり前じゃないですか、なんですかそれは? ぜひ聞かせてください!」
「孫のお世話よっ!」