イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
「ケンカもたくさんしたけど……必ず彼がね、これのフタ、カチャカチャやりながら近づいてくるの。それが、仲直りしようって合図。笑っちゃうでしょ? いっつも子どもみたいに意地っ張りで、不器用で……口下手、でっ……」
ぽたぽた、ぽたっ……
押し殺した嗚咽が、病室に響き渡る。
たまらなくなって、濡れたその手を握ると、華奢なその身体がぶつかるようにしがみついてきた。
「、……ぅっ……ひ……しゅうすけぇ……」
すすり泣きが、号泣へ、慟哭へ。
変わるのに時間はかからなかった。
わたしは、どれだけ伝えてきただろう?
寂しいって、辛いって――あの人たちに。
何を言っても無駄だって決めつけて先に背を向けたのは、わたしじゃなかっただろうか。
伝えたい時に、必ずしもその人がそこにいるとは限らない。
たとえそれが、愚痴であっても。
ぶつけたい時に、ぶつけられる時に、ぶつけておくべきなんだ。
今年の夏は……実家に帰ろうかな。
ふと、そんなことを考えた。