イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
案内されたのは、ブルームーンが入るビル。
流さんの弁護士事務所なんかも入ってるそこは、なんと流さんの持ち物で。
上階の単身者用の部屋を、格安で提供してくれたのだ。
――空き部屋でも掃除や換気はしなきゃいけないから、美弥子ちゃんが住んでくれた方がありがたい。
って言ってくれて。
確かに会社から徒歩圏内(!)だし、オートロックだし。
そりゃあ条件的には文句なし、ありがたい限りだけど。
坂田くんはそれでいいの?
他の男性(流さん)が、わたしのすぐ上の階に住んでるんだよ?
それって、平気なの?
そりゃね、流さんはゲイで、しかも英二くんと付き合ってるって聞かされてるし、特に危険なことがあるって心配してるわけじゃないけど。
なんていうか、そういうことじゃなくて、さ……
なんて。
モヤモヤした思いを抱えつつも引っ越しは無事に終わり(もちろん壁の穴は修繕済み)、段々と日常も落ち着いて――……
それでも、彼はわたしに触れようとしない。
キスして抱きしめてはくれるけど、それだけ。
とにかく、全然、手を出してこないのだ。
まるでトライアル期間中に逆戻りしたみたいに。
きっと河合さんとのことがあったし、気を遣ってくれてるんだと思う。
それが彼の優しさなんだろう……でもね。
声を大にして言いたい――
わたしの準備は、いつでもオッケーなの!!