イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
「絶対違うよね、申し込んですらいないでしょ!? エプロンだって忘れてたし! わたしなんか、キャンセル待ちしてようやく、やっと、滑り込んだのに!」
「へぇーよかったな。ラッキーじゃん」
棒読みのセリフにムカッとして、彼の腕引っ張っちゃった。
「どんな裏技使ったのっ? ねえっ」
「ったく、うるせえな」
邪険に、でもどこか楽し気に言って、彼が前髪をかき上げた。
そしてチラリと、笑いを含んだ流し目をくれる。
「社内カルチャーの運営管理、その担当部署は?」
え? 運営の担当?
「ええっと……人事部の人材育成課、じゃなかっ――……」
口にしかけて、ハッと言葉を切った。
思い出したから。
坂田くんの喫煙所仲間の一人……人事のプリンスこと、宇佐美理久の存在をっ!
「宇佐美さんに頼んで手を回したのねっ!?」
「さぁ、どうだろうな」
「なんでそんなズルいことするのっ。みんな、ちゃんとフェアに申し込んでるのに」
「……わかってねえなぁ。アンフェアな手を使ってでも、欲しいものがあるってことだよ」
……え?
「欲しい、もの……?」