イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
注がれる視線に、微熱が宿っているような気がして。
ドキリとした。
――中村のこと、欲しいと思った。
――わかりやすく言おうか。抱きたいってこと。
過った言葉の意味をじっくり咀嚼するより前に、頬に血が上ってくのがわかった。
まさか、まさかと思うけど……
「しかしさすがに、今日はちょっと焦ったな。口説いてる女によそ見されるとか、初めてだったし」
「口説っ……く、って……」
やっぱり、彼が欲しいっていうのは、わたしなの?
本気だったの?
でも……もう、事情は知ってるはずよね?
「っあ、飛鳥から聞いたでしょ? あの日、別にわたしは坂田くんを誘ったわけじゃなくて……」
「あぁ聞いた。肉食女子から助けてくれようとしたんだよな」
「そう、つまり、わたしは全然坂田くんに興味とかなくて――」
「真杉はこう言わなかったか? オレの方も話したいことあるって」
「う、うん? 言ってた、ね」
カチャ……
微かな音。
それが、一旦取りつけたシートベルトを外した音だと気づいた時にはもう、彼がこっちへ身を乗り出していた。