イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
は……?
じゃあ?
じゃあって、じゃあって、……何?
「……頭、大丈夫?」
一瞬の空白の後。
失礼なんじゃないか、ってくらいマジマジ覗き込んじゃった。
彼の方はといえば、わたしの反応が理解できない、って表情で肩をすくめてる。
「お互いフリーなんだし、何も問題ないだろ? そんな固く考えるなよ。軽い気持ちで付き合ってくれればいいから」
か、軽い気持ち!?
まさか彼、いつもこんな風に女の子誘ってるの?
これが彼の、恋愛スタイルってわけ?
それともわたしが真面目過ぎるの?
いやいや、ないない!
ありえない!
「……っふ、ざけないでっ!」
ドン!!
怒りに任せて、思いっきり突飛ばす。
彼の身体はやっぱりビクともしなかったけど、意志は伝わったらしい。
「ふざけてるつもりは、ねぇんだけどな」
独り言ちる様に静かに言った彼は、思いのほかあっさりわたしを解放して、運転席へと戻っていった。
「本気で言ってるなら、もっとタチが悪いよ。わ、わたし、婚活始めたところだし、軽い気持ちで付き合うとか、絶対無理だから」