宇佐美くんの口封じ
「で、せんぱいは何しに来たんですか?」
「へ?…あ、えっと、スマホを探しに…」
そう言うと、「ああ、なるほど」と彼は納得したように言う。
そうだ。私はもう用が済んだから帰らないと。
せっかくの定休日なのに、こんな予想外のことに巻き込まれてしまって時間を無駄にしてしまった気がしてならない。
「あの、では私は今度こそ帰ります」
「俺も帰ろうかな。…邪魔入っちゃったし」
「ひぇっ…それは大変申し訳ないと思ってはいるんですけど…!」
私は断じて悪いことはしていないけれど、イイコトをしようとしていた男女の間を邪魔してしまったのは申し訳ないと思う。
そう言われてしまっては、返す言葉がなかった。
「冗談ですよ」と笑う宇佐美くん。
…私の反応で遊んでいるのかなんなのか。
先輩としてなめられているのかも…。
……いや、それよりも、だ。
「宇佐美くん…あの、離れてください」
「んー…」
「そこ避けてくれないと帰れない…、」