宇佐美くんの口封じ
普通に話していた私も私だけど、宇佐美くんはずっと私のことを壁に追いやったままの体制だったわけで。
このままでは帰れない。腕も掴まれたままだ。
私の声は聞こえているはずなのに、彼は一向に避けようとしてくれない。
それどころか、私の顔を見つめて微動だにしないのだ。
……いや美しい顔だな……。
…って!違うってば。見とれてる場合じゃない。
「宇佐美くん?」
「…せんぱいって、」
「え?なに?てか早く離れ───…、」
て。
最後まで言葉が出なかった。
と、いうより、"出せなかった"。
「…せんぱいって、よく見ると可愛いですね」
ペロリと自分の唇を舐めた宇佐美くんは、そう言ってフッと笑う。