宇佐美くんの口封じ




リコには、あの日の夜に電話で宇佐美くんのことを好きだと気付いたことと同時に告白する前に振られてしまったという旨を伝えた。




『急展開すぎてついていけないんだけど…』と言いながらもリコなりに励ましてくれて、次の日には私の好きないちごみるくを買ってきてくれた。




『…慰めるのとかあんま得意じゃないのよねぇ。それにあたし、なーんか納得できなくて』

『…うん。でももういいの。ありがとリコ』

『まーたそうやってすぐ諦めて…。あんた可愛いんだから自信もちなよ?』



リコのこういうところが、純粋に好きだと思った。







「でもなんか、その後輩くんはちゃんと否定してくれてるみたい」

「玲?」

「そうそう。『勝手に噂されると相手に迷惑かかるからやめてくんない?』って噂してた女子に言ったらしいのよ。いいやつね」




リコの話に相槌をうちながら、その情報はどこから仕入れてきたんだ…と感心する。

歩く発信機と言っても過言ではない彼女の情報探査能力が、素直に羨ましいとも思った。

< 136 / 234 >

この作品をシェア

pagetop