宇佐美くんの口封じ





「てかあたしたち、また仕事ないわ」

「私も練習の時間まだだから暇だよ」

「変に雑用押し付けられても困るし、早いとこ逃げちゃお」

「…最低だねリコ…」

「ほら!はやく雅もいくよ!」




そういうリコに連れられ教室を出る。

集中準備期間は、1日中準備に当てられるからこそサボってもバレにくいという利点がある。



とはいえ、仕事のない私とリコは、食堂に行くかぶらぶらと校内1周するかくらいしか選択肢がない。行く当てがないなら、別に教室で喋っていたって良かったような気がしなくもない。



「ねー、雅」

「ん」

「後輩くんはさぁ、なんで急にそんなこと言ってきたんだろうね」




結局食堂に向かうことにした私たち。
途中、リコが急にそんなことを言ってきた。


「…さぁ、」と曖昧に返せば、彼女はさらに言葉を続ける。

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