宇佐美くんの口封じ




「納得できないのよ。だってあんなに雅のこと特別扱いしてたし」

「…急に飽きたんでしょ。言ったじゃん、『もう要らない』って言われたって」

「そうだけどさー…むかつくのよね、雅を平気で傷つけた後輩くんがさ」

「まあ、もう終わったことだし、ね」




リコは根が優しいのだ。

だからきっとこうやって私の代わりに怒ってくれいるのだと思う。

控えめに言っても感謝しかない。
持つべきものは友なのだと、こういう時に実感してしまう。





「てか私ら食堂行って何するんだろ」

「何もないね。どこ行っても暇」

「文化祭準備なんて、仕事がないと暇なだけよね、ほんと」

そんな会話をしながら食堂に着いた時のことだった。





「──依里ぃ、待ってよぉ」





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