宇佐美くんの口封じ





「リコ…やっぱ戻る、私」

「そうしよ。…逆にごめん、あたしが悪いわ」

「なんでリコが謝んのよ。どう考えても私の運がなさすぎるせいでしょ」

「そればっかりは否定できないわ、ごめん」



あくまで普通を装い、リコと小さくそんな会話をしながら食堂を出る。













「依里」

「…話しかけんな、うぜえ」

「なんで関係ないとか言っちゃうの?バカじゃないの?」

「…、もとはと言えばお前のせいだった」

「それは謝るけどぉ。あたしに責任転換すんのやめてくんない?拗(こじ)らせたのは依里だよ?」

「…お前キャラ変わりすぎ」

「あたしが入る隙が無いって気づいちゃったのよ。依里ってば最低、女の子にこんなこと言わせるなんて」

「…、(あー、くっそ、なんであんな可愛いんだ、せんぱい)」







私たちのいなくなった食堂でそんなやり取りが行われていたことは、もちろん知らない。





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