宇佐美くんの口封じ
「身体、動かせますか?マジであいつら階段から突き落とすとか人間としてどうなのって感じですよねぇ」
「…ま、麻央さん…っ」
「さん付けとか辞めてくださいよぉ。あたしの方が後輩なのに。せめて麻央ちゃんとかがいいです」
階段の上からキーキー言っている女の子たち。
麻央さん…改めて麻央ちゃんはそんな彼女たちをことごとく無視して私の身体を起こした。
ズキ、と激痛が走る。
全身から落ちたせいか、それがどの部分から来る痛みなのかも分からなかった。
「んー…あたしじゃ持てない。あたし、か弱くてー」
「いっ、いいよ!歩けるから!」
「無理言わないでくださいよぉ。ね、大丈夫だよ?超強力なスケットがもうすぐ来るからさ」
「…ス、スケット…?」
にーっと口角を上げてそう言った麻央ちゃん。
スっとその場から立つと、「ちょっとま 待っててくださいねっ」と言って階段を上り、わざと肩が当たるようにして女の子たちの間を通り抜けた。
…つ、強い……。