それからの日々
ダイニングテーブルに、みどりがつくったハンバーグとケチャップ味のチキンライスとサラダが並ぶ。
特別凝った料理ではない。ごく普通に食卓に上る、ありふれた「家庭料理」だ。
ただ……子どもが好むメニューだった。
娘の他愛ないおしゃべりをBGMに、洋史の息子は黙々と食べていた。
給食での好き嫌いが多い、と娘から聞いていたが、彼がみどりの料理を残すことはなかった。
ハンバーグの付け合わせのニンジンのグラッセも、サラダに入ったトマトも(パプリカがなくて代わりに入れた)ピーマンも、しっかり食べている。
その鋭い切れ長の目にスッと通った鼻筋を持つ面立ちは、端整過ぎて近寄りがたいものがあった。
なのに、娘に向ける視線はやわらかくて、やさしい。
まさに……「洋史のミニチュア」だった。