それからの日々
洋史の息子は、みどりの上の娘と同じ学年で同じクラスだった。
母親同士が親しくしていたこともあって、二人は建売住宅の同じ並びに住む互いの家を、まるで我が家のように行き来していた。
だが、みどりがリビングの奥のダイニングキッチンで夕飯の支度をしていると、
『……お邪魔しました』
そう言って、彼は家に帰ろうとした。
『さとくんっ、帰ったらあかんっ!』
娘が、必死の形相で引き留めた。
『うちで一緒に晩ごはん食べよ?
どうせ独りで食べるからって、またコンビニのおにぎりとかパンとかで済ませようって思っとうやろ?』
『智史くん……まさか、いつも晩ごはんにそんなん食べてるの?』
びっくりしたみどりが、ボールの中で挽肉を捏ねていた手を止めて尋ねた。
『別に……なに食べても一緒やから』