終わり良ければ全て良し、けど過程も大事


5分ぐらい経ってからだんだん、これはちょっとやってしまったと思った。

触れたくてたまらない結に触れられず、逆に結から一方的に触れられるこの状況は一種の生殺しだった。


乾きにくいからか、何度も後頭部を触られるたび首筋に指が触れたまらなくなる。


気付いた時には無意識に結の手を掴んでいた。

思い切り引っ込める手を追いかけるように振り返る。

目が合うとドライヤーのスイッチを止めソファーの限界まで後ろに下がっていった。


「まだ少し濡れてますけど」

「もういいよ。ありがと」


ソファーに手をつき顔を近づけたところでハッとする。

そういえば…キス、禁止だった。


完全に唇に向けていた目線をそらし結を見つめる。


「キス、しちゃダメって…なんか難しいね」

「難しい?」

「そう。キスってセックスの一部だから。キスしないセックスなんて良さ60%とかじゃない?人によってはもっと…40%とかになるかもね」

「白川さんは何%ですか?」

「俺?」


少し考えて答える。


「0。…って言ったら、キス禁止解除してくれる?」


首を振る結に笑った。


「そっか。そうだな…いつもなら80%だけど、結となら50%かな。禁止にされた分余計にキスしたい」


鼻がつくほど近づいても顔色ひとつ変えない。

男慣れしてないのにこんなに平常心でいられるのもすごい。


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