終わり良ければ全て良し、けど過程も大事
「結、ごはん食べた?食べてないなら一緒に食べない?俺なんか作るよ」
「まだですけど…帰ってきたばかりなんですからインスタントかコンビニじゃダメなんですか」
「作りたいの。何がいい?」
カバンを置いて結の側にしゃがみ込む。
またいつものように不機嫌な顔をしたけど少し考えながらやがて口を開く。
「…オムライス、とか」
「オムライス?」
なんか引っかかった。
「OK。材料取ってくる」
まあいっか…と、とりあえず立ち上がると「あの」とキッチンを指差された。
「お米ならたくさんあるので使ってください。冷凍してますから」
「そっか。分かった」
何気なくそう返答し、部屋に戻って材料と調理器具を持って結の部屋のキッチンに入る。
行き来するの面倒だし、最低限の調理器具だけ買っておこうかな。
結は使わなくても俺が使えばいいんだし。
そうぼんやり考えながら冷凍庫を開けた瞬間、固まった。
「なんだこれ」
1人用には少し大きい冷蔵庫の冷凍室にもうこれ以上入りきらない数のラップに包まれた冷凍ご飯がみっちり詰まっていた。
思考が停止しかけたけど、ハッとしてあの炊飯器に顔を向ける。
まさか…右海侑斗の声が聞きたくて何回も米炊いた、的な?
結に視線を向けるけど俺の様子には気付いていないように再びゲームを続行している。
そういえば、オムライスってもしかしてアレか?
犬僕猫君の和臣が得意な料理。
基本的に料理はしないけどオムライスだけは上手にできるって設定だった。
右海侑斗も花菱和臣も相当好きなんだな。
そうなると、もしかして俺が毛嫌いされてるのって大好きな作品の大好きな声優が演じてる大好きなキャラを実写で演じてるから?
漫画やアニメが好きな人で断固として実写を認めない一定層っている。
結はそのタイプっぽいし、それなら初対面からあの態度だったのも納得がいく。
挽回するの、結構難しそうだな…。