心を ほどいて ~コーディネーター麻里絵
やっと 涙を抑えて 理沙達が 控室を出て。
入れ違いに 入ってきた 私の両親。
純也の予言通り 私は 母の顔を見ただけで
涙を 溢れさせてしまった。
「今 理沙ちゃんに 泣かされたばかりで。まりえの涙腺 緩んでいるから。」
純也が 優しく 言ってくれる。
「麻里絵。よかったね。純也さんみたいな 優しい人と 結婚できて。」
私の涙に つられて 母も 声を詰まれせた。
「お母さん。私を産んでくれて ありがとう。」
声を詰まらせて 途切れ途切れに 私は言う。
「ううん。私も 麻里絵を育てられて よかったよ。」
さすがに母は 私より しっかりしている。
すぐに 立ち直って 私を 余計に泣かす。
「みんなで 麻里絵を泣かして。まだ 結婚式 始まってないのに。」
真っ赤な目の 父の笑顔を見て
私の顔は また歪んでしまう。
「お父さん。今まで 可愛がって 育ててくれて。本当に ありがとう。」
私の言葉に 父は 背中を向けてしまう。
「これからは お義父さんに変わって 僕がまりえを 守ります。」
「うん。うん。よかったなぁ。」
私は 1人で 生きていたわけじゃない。
こんなに みんなが 私を 見ていてくれた。
今日の涙を 絶対に 忘れない。
もう一度 メイクを直してもらうほど
幸せの涙は 私から 溢れ続けた。