桜の色は、藍色の花…
 ゆきのが、身請けされる日がきたー。
 まだ、みんなが、寝ている、明け方。
 あたしは、部屋の戸を叩く音で、起きた。
 寝ぼけ眼で、あたしは、返事した。
 「はい…。」
 すると、外から、市川の声がした。
 「かがり、起きな!!
ゆきの姉さん、見送るよっ!!」
「はい!」
 完全に、目が覚めた、あたしは、すぐに、着替えた。
 それから、鍵を開け、部屋の外に出て、部屋に鍵をした。
 「かがり、早く!!」
「はい!」
 階段をおりると、綺麗な着物を纏い、綺麗な化粧をした、ゆきのがいた。
 「わぁ〜…。
ゆきの姉さん綺麗…。」
「ありがとう。
かがり。」
 外に出ると、まだ、籠は、来ておらず、ゆきのと話すことが出来た。
 「かがり。
今日から、お前は、市川にも、手練手管を教えてもらうんだよ?
いいね?」
「はい!」
「いい返事。
市川、かがりを頼んだよ?」
「勿論です。
任せてください!!」
 ふと見ると、見送りに出ているのは、市川、かつら、ゆいは、こさめ、ゆずは、あたしだけだった。
 「他の禿は、どうしたんですか?」
 あたしの問いに、市川が答えた。
 「あの子達は、まだ、寝てるよ。
見送りには、来させなかった。」
「どうしてですか?」
「太夫と、1番仲がいいのが、お前だったから、お前は呼んだんだよ。
他の子は、太夫のとこに、遊びに行ったりしてないからね。」
「そうだったんですね。」
 それから、ゆきのは、見送りに来てくれた人達に、挨拶をしていった。
 「(これで、ゆきの姉さんには、会えなくなるんだ…。)」
 そう思ったら、涙が止まらなくなった。
 あたしは、ゆきのに抱きついた。
 「姉さん…。」
「かがり…。
そんなに泣かないで。」
「姉さん。
あたしも、姉さんみたいな太夫になれますか?」
「大丈夫。
かがりは、立派な太夫になれるから。
ね?」
 それでも泣き止まないあたしを、ゆきのは頭を撫でてくれ、にっこり微笑んだ。
 「そうだ!
いいものをあげよう。」
「いいもの…?」
「そう。」
 そう言って、ゆきのは、簪を一つ取った。
 「これはね、平八さんがくれた、簪の一つだよ。
辛いことや、泣きそうになった時や、寂しくなった時に、これを握りしめなさい。
落ち着くから。」
「姉さん!
こんな大事なもの、受け取れません!!」
「いいのよ。
まだあるから。
独り立ちしたら、つけるといいわ。
大切にしてね?」
「はい!!」
 そこに、籠が来た。
 「お世話になりました。」
 そう言って、ゆきのは、籠に乗り、大門を出た。
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