砂上の城〜秘密を抱えた少年の数奇な運命
「会いたかった」
駆け寄ってきた少年を軽々と抱き上げたのはアベルだった。カインの背後から現れ、とびきり優しい顔で少年を見つめている。
「会いたかったよ」
アベルは愛しげに少年の体をギュッと抱きしめた。
少年は嬉しそうにアベルに抱きつきながら、不意にこっちを向いた。
濁りのない透き通るようなアイスブルーの瞳がまっすぐにこちらを見ている。
少年の視線に気づき、アベルもこちらを見た。
だが。
こちらを見るなりアベルの顔からみるみる笑みが消える。口元をキュッと締め、目元は釣り上がり、眉間に深いシワを寄せ、怒りの表情へと豹変した。
「何をしようとしている」
ーー何って。
尋ねようとするが、声が出ない。
どうしたというのだろう。声の出し方が思い出せない。
「こんな大切なこと、なぜ、俺に言わないんだ」
アベルの声が震えている。怒り、悲しみといった負の感情が混ざりあったとてつもなく苦しげな声だ。
痛いほどに手を掴まれて、痛みでふと夢が途切れた。
駆け寄ってきた少年を軽々と抱き上げたのはアベルだった。カインの背後から現れ、とびきり優しい顔で少年を見つめている。
「会いたかったよ」
アベルは愛しげに少年の体をギュッと抱きしめた。
少年は嬉しそうにアベルに抱きつきながら、不意にこっちを向いた。
濁りのない透き通るようなアイスブルーの瞳がまっすぐにこちらを見ている。
少年の視線に気づき、アベルもこちらを見た。
だが。
こちらを見るなりアベルの顔からみるみる笑みが消える。口元をキュッと締め、目元は釣り上がり、眉間に深いシワを寄せ、怒りの表情へと豹変した。
「何をしようとしている」
ーー何って。
尋ねようとするが、声が出ない。
どうしたというのだろう。声の出し方が思い出せない。
「こんな大切なこと、なぜ、俺に言わないんだ」
アベルの声が震えている。怒り、悲しみといった負の感情が混ざりあったとてつもなく苦しげな声だ。
痛いほどに手を掴まれて、痛みでふと夢が途切れた。