砂上の城〜秘密を抱えた少年の数奇な運命
「私はオルディン公爵です。男としてしか生きるしか許されない者です。なぜそんなことを仰るのですか?」
「許さないとは誰がだ?先代のニックスか?ならば、すでにこの世の者ではない。
カイン、お前ほどの頭脳を持ち、これだけ俺のそばに仕えていてなぜわからないんだ」
アベルはもどかしげにカインの顔を両手で掴むと自分の方にぐいっと向けた。
「もう、親友はやめる」
アベルの言葉は刃のようにカインの心に刺さった。
誰より近くで彼のことを支えてきた自分の存在を否定されたと思ったのだ。
「私にとって、アベルとの友情だけが生きる喜びでした。
…もう、私は必要ないのですか」
「友情だなんて、お前が女だと知ったときから何処かへ行ってしまっていたよ。
俺は、お前が愛おしくてたまらない。お前を守ることが俺の生きる喜びだ。
お前を抱くたびに先代のニックスを恨んだよ。
もしお前がオルディン公爵家の四女として育っていれば、俺は迷わずお前を妃に選び、ひたすらに愛しただろうって」
「許さないとは誰がだ?先代のニックスか?ならば、すでにこの世の者ではない。
カイン、お前ほどの頭脳を持ち、これだけ俺のそばに仕えていてなぜわからないんだ」
アベルはもどかしげにカインの顔を両手で掴むと自分の方にぐいっと向けた。
「もう、親友はやめる」
アベルの言葉は刃のようにカインの心に刺さった。
誰より近くで彼のことを支えてきた自分の存在を否定されたと思ったのだ。
「私にとって、アベルとの友情だけが生きる喜びでした。
…もう、私は必要ないのですか」
「友情だなんて、お前が女だと知ったときから何処かへ行ってしまっていたよ。
俺は、お前が愛おしくてたまらない。お前を守ることが俺の生きる喜びだ。
お前を抱くたびに先代のニックスを恨んだよ。
もしお前がオルディン公爵家の四女として育っていれば、俺は迷わずお前を妃に選び、ひたすらに愛しただろうって」