砂上の城〜秘密を抱えた少年の数奇な運命
「おはよう、カイン。体調はどうだ?」

朝日に負けないくらいの爽やかさでアベルがやってくる。

「変わりありません。今日はどのような要件ですか?」

そんなアベルに対してカインはいつもと変わらず淡々と答える。

「冷たいなぁ。今日は休み。気分転換に馬の遠乗りをしてるんだ」
「供もつけずに不用心ですよ」
「…お前に会いに来るのに、供など要らん」

ふわり、とアベルがカインを抱きしめ、優しくキスをする。
愛おしさが溢れ出るような、そんな優しいキスだ。

「きちんとお仕事はこなしていますか?」
「目付役のオルディン公爵がいないからな、上手くサボってる」

それはすぐに嘘だとわかる。
カインがこちらに来た頃より痩せている。目の下にもクマ。今までカインが補佐してきた分も一人でこなすため、寝る間も惜しんで仕事をしているのだろう。


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