砂上の城〜秘密を抱えた少年の数奇な運命
アベルがカインの元を訪れてから一週間。
今宵は国王ディアルド主催の舞踏会が盛大に行われていた。
次から次へと誘われるままに女性と踊り続けたアベルはさすがに疲れてバルコニーに出る。
火照った体に夜風が気持ちよかった。
バルコニーから見下ろすと、月夜に照らされた中庭の木の陰で恋人同士が愛を交わし合っている。
ーーもっと隠れてやれよ。こっちは毎日でも会いたい気持ちさえ我慢してるのに。
その時だった。
「アルベルト王子」
声をかけられて振り向けば、息を弾ませながらモリセットが近づいてきた。
オルディン公爵家の執事が本来ならばこのような舞踏会に姿を見せるはずがない。このタイミングで緊急の知らせがあるとすれば。
アベルの心臓が大きくはねた。
「我があるじ、オルディン公爵からの伝言を取り急ぎお知らせしたく参りました。
ご無礼失礼いたします」
モリセットは周囲を伺う。バルコニーには数人の人影がある。彼らに聞こえないようにそっとアベルの耳元で一言だけつぶやいた。
「男子誕生」
「……そうか。わかった。色々と手が要るだろう。下がって公爵の手伝いを」
「かしこまりました」
モリセットは深々とアベルにお辞儀をした。それから使用人が使うバルコニーに通じる通路へと姿を消した。
今宵は国王ディアルド主催の舞踏会が盛大に行われていた。
次から次へと誘われるままに女性と踊り続けたアベルはさすがに疲れてバルコニーに出る。
火照った体に夜風が気持ちよかった。
バルコニーから見下ろすと、月夜に照らされた中庭の木の陰で恋人同士が愛を交わし合っている。
ーーもっと隠れてやれよ。こっちは毎日でも会いたい気持ちさえ我慢してるのに。
その時だった。
「アルベルト王子」
声をかけられて振り向けば、息を弾ませながらモリセットが近づいてきた。
オルディン公爵家の執事が本来ならばこのような舞踏会に姿を見せるはずがない。このタイミングで緊急の知らせがあるとすれば。
アベルの心臓が大きくはねた。
「我があるじ、オルディン公爵からの伝言を取り急ぎお知らせしたく参りました。
ご無礼失礼いたします」
モリセットは周囲を伺う。バルコニーには数人の人影がある。彼らに聞こえないようにそっとアベルの耳元で一言だけつぶやいた。
「男子誕生」
「……そうか。わかった。色々と手が要るだろう。下がって公爵の手伝いを」
「かしこまりました」
モリセットは深々とアベルにお辞儀をした。それから使用人が使うバルコニーに通じる通路へと姿を消した。