砂上の城〜秘密を抱えた少年の数奇な運命
モレーの見立てではまだ半月ほどかかると言っていたが。

ーーそうか、生まれたか。俺の子…しかも、男の子。

アベルはこみ上げてくる喜びを懸命に押さえつける。いますぐにでも駆けつけたい。
カインをねぎらい、子供を抱き上げたい。

もう、じっとしていられなかった。

「兄上、酒を飲みすぎてしまいました。少々早いのですが、下がってもよろしいでしょうか」

アベルは会場に戻り、招待客の応対をしていた兄王に声をかける。

「そうか。わかった」

兄王は特別気にもせず、答えた。自分が主催だと言うのに、愛想もなくつまらなそうに席に座っている。
その隣でサラがニコニコと笑顔で招待客の応対をしていた。

「あら、珍しい。アベル王子が飲みすぎたなんて」
「目付役がいないのでつい羽目を外してしまいました」
「いつもならカインが目を光らせているものね。あの子がもうすぐ父親だなんて。あるじのアベルを差し置いて先に結婚だなんて。ごめんなさい」
「まぁ、あいつに先を越されたのは悔しいですけど。オルディン家の跡継ぎをもうけることは最優先事項ですし、しょうがありません。あいつが恋にうつつを抜かしてくれたおかげで俺も自由にやれて、まぁ、このざまです、アハハ。
じゃ、お先に失礼いたします」

サラが女主人としてこの舞踏会を仕切ってくれていれば、問題ない。



アベルは会場を後にした。
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