砂上の城〜秘密を抱えた少年の数奇な運命
色々理屈をつけたが、本当はアルスが『父上』と呼ぶべきはアベルだ。アベルにだけその権利がある。
だが、アルスはアベルが血の繋がった父親だとは知らない。きっと生涯カインの口から真実を語ることはないだろう。たとえどんなに二人が似ていても、アベルとアルスが父と息子になれる日が来るはずもない。
アルスから父親を奪い、アベルから息子を奪い、カインの背負う罪は増えていく一方だ。
アルスの小さな背中を見ているとやりきれない気持ちが膨らんで、カインは二人から視線を外した。
そんなカインの目に飛び込んできたのは積み木の城だ。
「ずいぶんと立派な城を作ったものですね、アルス」
「でしょ?降ろしてアベル。お城を完成させなきゃ」
アルスはアベルの腕の中からぴょんと降りた。
積み木の城はその衝撃でグラグラと揺れて倒れる。すると連鎖的にガラガラと全てが崩れ落ちた。
ーー身を慎み、静観せよ。安閑たれ。
己が身は砂上の城と心得よ。
崩れた積み木の城がカインに亡き父の言葉を思い出させた。
今の私はアベルに支えられてる。もし彼を失う日がくれば、我が身は崩れ落ちるだけ。その時、私はどうなってもかまわない。ただ、アルスも巻き添えにしてしまうのが怖い。
自分一人だけが全ての罪を背負って、崩れ落ちてなくなってしまえればいい。
だが、アルスはアベルが血の繋がった父親だとは知らない。きっと生涯カインの口から真実を語ることはないだろう。たとえどんなに二人が似ていても、アベルとアルスが父と息子になれる日が来るはずもない。
アルスから父親を奪い、アベルから息子を奪い、カインの背負う罪は増えていく一方だ。
アルスの小さな背中を見ているとやりきれない気持ちが膨らんで、カインは二人から視線を外した。
そんなカインの目に飛び込んできたのは積み木の城だ。
「ずいぶんと立派な城を作ったものですね、アルス」
「でしょ?降ろしてアベル。お城を完成させなきゃ」
アルスはアベルの腕の中からぴょんと降りた。
積み木の城はその衝撃でグラグラと揺れて倒れる。すると連鎖的にガラガラと全てが崩れ落ちた。
ーー身を慎み、静観せよ。安閑たれ。
己が身は砂上の城と心得よ。
崩れた積み木の城がカインに亡き父の言葉を思い出させた。
今の私はアベルに支えられてる。もし彼を失う日がくれば、我が身は崩れ落ちるだけ。その時、私はどうなってもかまわない。ただ、アルスも巻き添えにしてしまうのが怖い。
自分一人だけが全ての罪を背負って、崩れ落ちてなくなってしまえればいい。