砂上の城〜秘密を抱えた少年の数奇な運命
ふとカインの脳裏に、仲睦まじい姉サラとディアルド国王の寄り添う姿が浮かぶ。見つめ合うだけで言葉を交わすこともなく以心伝心したように同時に微笑む姿。
その姿を思い浮かべながら、二人の顔を自分とアベルに置き換えてしまう。

ーーバカ者。
お前は本当に愚かになったな、カイン。
おのれは砂上の城。いつ崩れるかわからない、脆い城。
愛など語る資格はない。愛される必要もない。お前は何もせずただ次世代に繋げばいいのだ。夢などみる必要はない。時間の無駄だ。お前の望みなど叶うわけはない。

自分を戒めながらカインはアベルの言葉を冗談に変える。

「その冗談は嫌いです。もう、お酒が回りましたか?このベッドを提供しますから、お休みください」

「いやだ。お前じゃなきゃ、結婚なんかしない」

アベルがぎゅっとカインをかきいだく。カインの手から書物が落ちる。

アベルの強い想いが痛い。

ーー本当は陽のあたる場所であなたと肩を並べて生きていきたい。

だけど、私はオルディン公爵としてしか生きることしか許されない。

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