砂上の城〜秘密を抱えた少年の数奇な運命
顔を赤らめたり青ざめたり、感情が定まらないほどに動揺するアベルの傍らで、カインは静かに考える。
正妃ジョセフィンの出身ブリュオー王国は、小国ながら豊かな国だ。決しておろそかにして良い相手ではない。それでも、ジョセフィンの代理としてサラに子供を産ませることの代償とはいえ、アベルを差し出すことは両国の力の差を鑑みてもかなりの譲歩だ。
だがそのことにディアルドは気づいていないのだろう。
カインはこの場を収める言葉を探す。恐らく、いくら食い下がってもアベルの意思で覆るようなものではない。ディアルド国王の顔を見ればわかる。宰相のレオポルトの反対さえ聞き入れないのだから、今は何を言っても無駄だろう。
だから。
「かしこまりました。
我が姉が産む子が…オルディンの血を引く子が王位継承者になどと身に余る光栄です。もちろん、他言いたしません。
アルベルト王子の出立まで、私の持つブリュオー王国の知識をご教授させていただきます」
カインは平生を保ったまま淡々とディアルドに頭を下げる。
「うむ。さすがはオルディン公爵。物わかりが良くて助かる。頼んだよ」
「兄上もカインも、ちょっと待ってくれ」
頭を抱えるようにアベルが悲痛な様子で訴える。
ーー俺のことなんて、どうなったっていい。だがカインは?カインはどうなる。一人で女の身を隠しながらアルスを育て、フォトキナの中枢で仕事をこなせるなんて思えない。
「アベル、大丈夫だ。ブリュオー国王は非常に聡明で賢王と名高い方だ。
お前を良い方向に導いてくれるだろう。活躍を期待している」
兄の言葉に空々しさを感じる。
ーーうっとおしい弟を追い出しつつ正妃の母国にもいい顔をして、結局は兄上にとっていい方向に物事が進んでいる。
ここに居ても埒があかない。
アベルは納得がいかぬまま、カインとともに私室へと戻った。
正妃ジョセフィンの出身ブリュオー王国は、小国ながら豊かな国だ。決しておろそかにして良い相手ではない。それでも、ジョセフィンの代理としてサラに子供を産ませることの代償とはいえ、アベルを差し出すことは両国の力の差を鑑みてもかなりの譲歩だ。
だがそのことにディアルドは気づいていないのだろう。
カインはこの場を収める言葉を探す。恐らく、いくら食い下がってもアベルの意思で覆るようなものではない。ディアルド国王の顔を見ればわかる。宰相のレオポルトの反対さえ聞き入れないのだから、今は何を言っても無駄だろう。
だから。
「かしこまりました。
我が姉が産む子が…オルディンの血を引く子が王位継承者になどと身に余る光栄です。もちろん、他言いたしません。
アルベルト王子の出立まで、私の持つブリュオー王国の知識をご教授させていただきます」
カインは平生を保ったまま淡々とディアルドに頭を下げる。
「うむ。さすがはオルディン公爵。物わかりが良くて助かる。頼んだよ」
「兄上もカインも、ちょっと待ってくれ」
頭を抱えるようにアベルが悲痛な様子で訴える。
ーー俺のことなんて、どうなったっていい。だがカインは?カインはどうなる。一人で女の身を隠しながらアルスを育て、フォトキナの中枢で仕事をこなせるなんて思えない。
「アベル、大丈夫だ。ブリュオー国王は非常に聡明で賢王と名高い方だ。
お前を良い方向に導いてくれるだろう。活躍を期待している」
兄の言葉に空々しさを感じる。
ーーうっとおしい弟を追い出しつつ正妃の母国にもいい顔をして、結局は兄上にとっていい方向に物事が進んでいる。
ここに居ても埒があかない。
アベルは納得がいかぬまま、カインとともに私室へと戻った。